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第10期代表世話人
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桑畑 進
(大阪大学 大学院工学研究科長・工学部長)
イオン液体研究会のホームページにお立ち寄り下さり、誠にありがとうございます。2023年4月1日から第10期代表世話人をさせて頂くことになりました桑畑でございます。
本会が発足された翌年である2005年に、西川恵子教授(千葉大)が研究代表者を務められた特定領域研究「イオン液体の科学」(2005〜2010年)が採択されました。これは世界に先立つイオン液体の大規模な集中的グループ研究であり、私も計画班員として参画させて頂きました。科学研究費補助金(略称:科研費)のひとつである特定領域研究(現在は「学術変革領域研究」がそれに相当)の多くの研究課題は、それまでにあった科学技術をさらに高める、あるいは新側面を開発する、ということが主目的であるのに対し、誰でも扱える安定なイオン液体が登場してから10年程度しか経っていない当時は、謎の液体の正体を明らかにし、応用の可能性を探ることが主たる研究でありました。それゆえ、ミーティングの度に新しい発見が報告され、まさにメンバー全員がワクワクしながら研究をしていました。その時に得られた数多くの成果を基礎とし、経験したワクワク精神を大事にしながら、イオン液体のさらなる可能性を追求する研究者が集い議論する場を提供することが、本イオン液体研究会の大きな役目のひとつであります。
2004年に発足された本会は2023年に20年目を迎えます。最初は「室温でもなぜか液体である不思議な塩」を研究している(関西弁で言うと)けったいな研究者の集団であったかもしれません。しかし、この20年にイオン液体の種類は膨大に増え、designable liquidとしての地位を確固たるものとし、試薬として販売され、比較的容易に入手できる高純度なイオン液体の種類も随分増えました。もはや不思議の段階を脱したイオン液体は、多くの分野で利用方法が検討され、その研究を通してイオン液体に魅力を感じ、本会に入会して頂いている会員の数は現在381名(正会員164名(アカデミック138名,産業界26名),学生会員217名)であり、加えて賛助会員は14社と増加傾向を維持しております。不思議な塩を研究する研究会から始まった本会が、イオン液体を通した不思議な縁をつくる場としての役割を果たし、まだまだ奥深い可能性のあるイオン液体の研究を促進させ、科学のさらなる飛躍の原動力となることを願っております。
本会の代表世話人を務めた方々の一覧を、敬意を込めて以下に表示いたします。
第1期 | 濱口 宏夫 教授 |
第2期・第3期 | 渡邉 正義 教授 |
第4期・第5期 | 西川 恵子 教授 |
第6期 | 伊藤 敏幸 教授 |
第7期 | 大野 弘幸 教授 |
第8期 | 萩原 理加 教授 |
第9期 | 大内 幸雄 教授 |
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歴代 |